『シャザム!』 コミカルさが内包する深いテーマ性

「見た目はオトナ、中身はコドモ」

どこかで聞いたキャッチコピーでスーパーヒーロー映画激戦期に颯爽登場の『シャザム』がものすごく面白かった。

「明るい面白い楽しい」の三拍子が揃った娯楽作で、これまでのDC映画とは趣が全く異なっている。

一体DC映画はどうなっってしまったんだ!と驚愕するしかない作品だった。

これまでのDC作品は「暗くハードな雰囲気」を醸していた。しかし、作品自体の作りは雑さを感じるほどで鳴り物入りで公開された『バットマンVSスーパーマン』は説明不足でイマイチ作品を読み取ることが難しかった。

『ジャスティスリーグ』もまだ暗さと雑さが同居しており、相変わらずの駆け足っぷりを見せつけられたが『アクアマン』から本格的に方針転換された。

だが『シャザム!』はこれまでのDCどころかマーベルなどのアメコミ映画では珍しいコミカルさを見せる。

少年ビリーが魔法使いから突如特殊な能力を受け継ぎ大人の姿(シャザム)になり、驚異的な能力を駆使して人々を救う…のではなく、私利私欲に使う。

手から稲妻を出せるからと大道芸人のように街中で披露しお金を儲けてみたり、ATMを稲妻で弄り現金を引き出す。大人の姿だからビールを購入したりと挙句にはYoutubeで動画を公開しYoutuberになってしまうなど下らなさ満載。

かつてこれほど下らないヒーローが存在しただろうか。

思春期の少年が考える下らないことを実直に描く。

酒を飲みたいストリップに行きたい…そんな馬鹿な欲望をザッカリー・リーヴァイは14歳の演技で魅せてしまう。

下らないヒーローの下らなさをザッカリー・リーヴァイの高い演技力が強調してくる。14歳の内面そのままで大人になったようにしか見えない。

表情や感情の細かな変化が本当に14歳のままなのだ。その演技がシャザム!のコミカルさを強調している。 少年を経験した成人男性なら共感できる14歳のヒーローになっていた。 本当に素晴らしい演技で敬服するしかない。

『シャザム!』はコミカルさで押し通す作品ではない。作品の骨幹には「家族」というテーマが存在している。

本作では二つの家族が登場する。

血の繋がった実の家族ではあるが、愛と絆を得られなかった男。血の繋がりは全くないのに家族を得た少年。この二つが重要なカギとなる。

血の繋がりはあるのに家族になれなかった男は悪へと走り、家族のない少年がヒーローになる。

男は家族を殺害し、遂にはシャザムの力すら手に入れようとしてしまう。

ビリーは自分を受け入れてくれた新たな家族になじめなかったが、最後には彼らを家族と受け入れて共闘する。

血が繋がっていなくとも互いを信じ、愛していればそれで家族なのだと示している。

愛と絆がなければ家族は家族ではない。これは養子を迎え入れる文化のある欧米だからこそ描けた作品だと思う。 ビリーは新たな家族を受け入れなければ悪には勝てなかった。

これは血縁関係のない親子や兄弟を勇気づける力強いメッセージになっていると思える。

シャザム!はコミカルで楽しい作品だ。子どもが見ても楽しめる。特に中学生ぐらいの少年が見ると共感できるはずだ。

コミカルだけでなく深いテーマ性を盛り込みある種の社会派としての側面を見せる驚異のスーパーヒーロー映画。

今まで見たDC映画の中でトップクラスに面白い作品だと断言できる。

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